危機の本質 2012 6 30

 来年も再来年も、欧州危機は起こるでしょう。
なぜか。
 それは、今となっては、欧州危機が、
「金融危機」ではなく、「政治危機」になってしまったからです。
 最初は、金融危機だったのでしょうが、
今や、「決断できない政治」、
「意思決定に時間がかかる」、
「対症療法に終始している」ということが、
あまりにも目立ちます。
 つまり、危機の本質が、
「金融危機」から「政治危機」に移転したのです。
 危機の時は、強力なリーダーが必要です。
「EU大統領」は、強力なリーダーと言えるか。
 しかし、それは、ドイツもフランスも反対でしょう。
もし、EU大統領が、アメリカ大統領並みに権限を持てば、
ドイツ首相もフランス大統領も、
ドイツ州知事、フランス州知事になってしまうからです。
おそらく、政治統合どころか、財政統合も無理でしょう。
 かくて、世界に、毎年、夏がやってくるように、
欧州危機も、毎年、やってくるでしょう。
 さて、6月17日に「ドーマーの定理」を書きました。
この定理は、財政の持続可能性のことを言っています。
 本来であれば、この定理には、いろいろな条件がつきますが、
簡略化して考えれば、
名目GDP成長率が、名目金利(たとえば10年物国債金利)を上回るかどうかです。
 さて、欧州で、
「名目GDP成長率が、10年物国債金利を上回る」、
そういう国は、ありますか。

ドーマーの定理 2012 6 17
 欧州の債務は、「ドーマーの定理」という難しいことを考えなくても、
やがて、持続不可能になると思います。
 ちなみに、ドーマーの定理とは、何か。
この定理を簡略化して、わかりやすく言うならば、
名目GDP成長率が、名目金利(たとえば10年物国債金利)を上回るかどうかです。
 これは、名目GDP成長率は税収の限界的な伸びを示すと考えられるので、
これが名目金利より高ければ、将来的に財政赤字が縮小していくと予想されます。
 さて、ドーマーの定理を使って、
欧州の債務国を見てみると、どう見えるか。
持続可能でしょうか。
 参考文献として、何度か取り上げましたが、
山本幸三氏の「日銀につぶされた日本経済」を紹介しておきます。









































































































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